ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)と保険

解説してくれるのは
みずほクリニックの小松先生です。

内容は少し難しいですが
詳細に現状が書かれています。

ADMについて詳しく知りたい人は
最初から読んでください。

ADMが保険診療となるかについての現状を知りたい人は
以下の目次にある「ADMをどう扱うかは意見が分かれている」から読むとよいでしょう。

目次

【記事タイトル】
しみ治療で重要なこと
誤診されやすいシミの種類
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは
ADM治療が有効とはいえない例
ADM治療とQスイッチ・レーザー
ADM治療の副作用
ADMをどう扱うかは意見が分かれている
扁平母斑の場合はどうか?
ADMは保険適用できるのか?
保険適用で使える機種
最後に
投稿記事のクリニック情報

【記事タイトル】

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の保険適用治療

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しみ治療で重要なこと

しみ治療で重要なことは、
まず第一にシミの種類を正確に見極めることです。
そして、もし複数種のシミが混在する場合には、どの治療をどの順番で組み合わせてゆくか?
この2点が大切です。

なぜなら、それぞれのシミに対して有効な治療法というのはある程度決まってくるからです。

一つの治療法ですべてのシミに対して有効という謳い文句を宣伝としては見ることがあっても、
実際は、そのような万能とも言えるシミ治療は存在しません。

逆に言えば、シミの種類が正確に診断出来ないとせっかくお金と時間をかけて 治療を行っても全く効果が得られないか、もしくはシミが悪化してしまうことさえあり得ます。

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誤診されやすいシミの種類

特に肝斑とADM(後天性真皮メラノサイトーシス)、ソバカス(雀卵斑)は、分布部位に共通部分が見られるため、誤診されて全く無効の治療が行われていたり、悪化させられてしまっているケースを外来でしばしば散見します。

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ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)とは

ところで、肝斑やソバカスという言葉については、一般的な認知度は既にかなり高いと言えますが、
ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)という言葉を知っている患者さんはそれほど多いわけではありません。

外来でみかける非常に頻度の高いシミであるにも関わらず、この言葉がまだ広く認知されていない理由は、 ここ10年くらいで広まった比較的新しい概念であるということが挙げられます。

ADMは、顔面の頬骨部、下瞼、鼻部、目尻、コメカミ部などに見られる小斑状ないしは点状のシミで、
早くて思春期以降、多くは20代以降に発生が見られます。

日本人を含む黄色人種(東洋人、東南アジア人)に多く見られる皮膚の色素異常です。 多くは両側性で顔の左右に生じますが、下瞼にまで点状に特徴的なシミが認められることが多いなど、肝斑との判別ポイントがいくつかあります。

また、シミの分布はソバカスに若干似ていますが、一個一個のシミの粒のサイズが雀卵斑よりも大きいことが多く、色調が雀卵斑よりもくすんだ暗い灰褐色(もしくは褐色ないし灰色)をしているため鑑別が可能です。

経験を積んだ皮膚科医、形成外科医ならば誰でもこれらを比較的容易に判別できるケースが大半ですが、
中には、まぎらわしく鑑別診断が難しいものもあり、上記が組み合わさり、混ざって存在する上、
さらに部分的に日光性色素斑や炎症後色素沈着など他種(多種)のシミも同時に混在すると、話はなおいっそうややこしくなります。

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ADM治療が有効とはいえない例

具体的に診断が間違っているために効果的と言えない治療が行われている実際例としてよく見られるのは、ADMに対して、レーザートーニングやフォトフェイシャルといった、いわゆるフェイシャル系施術が長々と多数回に渡って行われているという例です。

どこかのクリニックでやってはみたけれど、結果的にほとんど変わらなかったという患者さんの不満の声を外来でよく耳にします。(注1)

もちろん、ADMであったとしても表皮基底層付近にメラニンが全くないとは言えませんので、
フォトフィシャルやレーザートーニングで、少しも改善が見られないか?と言われると わずかに色が薄くなるケースも中にはあるため、100%無効と言ってしまうのはやや極論かもしれません。

しかしながら一般論で言えば、ADMに対してほぼ確実に有効な治療法は、
Qスイッチレーザーによる高出力ピンポイント照射であるというのが
皮膚科医、形成外科医、美容外科医、美容皮膚科医を問わず共通した見解であると言えます。

(注1)
一部にレーザートーニングの掛け方を特別に工夫することでADMを取るないし薄くすることが出来ると主張しているクリニックもあり、当院もその意見を全く否定はしません。

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ADM治療とQスイッチ・レーザー

ちなみに、ADMに対しては
Qスイッチ・レーザーは、ルビー、アレキサンドライト、ヤグの3波長のいずれもが有効です。

しかし、あくまで個人的な経験(感想)ですが、効果の高さつまり治療回数をより少なくし、短期間で結果を出すならルビーが一番効果的であり、2番目がアレキサンドライト、3番目がヤグであると感じます。

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ADM治療の副作用

ADMは、真皮のメラノサイトをいずれの波長もかなり強めの出力で打つことが治療成功の条件となってきますので、照射に伴ってある程度の副作用が生じます。

ルビーやアレキサンドライトでは、痂皮(かさぶた)が皮膚面に生じ、取れるまで7日から10日間ほど生じますし、ヤグならば、打った直後に点状出血が見られます。

また、いずれのレーザーも照射後3週目から4週目に一時的に炎症後色素沈着により、 元のシミと同じかそれ以上の褐色調の色味が生じる、俗に「戻りジミ」とも言われる現象が見られることが多いです。

そして、3ヶ月から6ヶ月もしくは、最長1年の期間を経て、この一時的にシミが悪化してしまったように見える状態が改善してゆきます。 つまり、途中副作用による煩わしさはありつつも、時間さえかければシミは薄くなるかうまくゆけば完全除去が完了します。

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ADMをどう扱うかは意見が分かれている

このように最も効果的であり、ADM治療の「切り札」とも言えるQスイッチレーザー治療ですが、
自由診療ではなく、保険適用として治療を行っているクリニックもあります。

ちなみに、Qスイッチレーザーの保険適用は、ルビーとアレキサンドライトのみであり、
ヤグレーザーには、保険適用はありません。

しかしながら、ADMに保険のQレーザー治療を行うのをよしとするか、適用外とするかについては医師の意見が分かれています。

その理由は、先天性の太田母斑に対してQスイッチレーザー(ルビー、アレキサンドライト)を保険で打つことに関しては、全ての医師が異議を唱えることはないはずですが、
ADMを先天性太田母斑の遅発型(後天性)ととらえるか(注2)、そうではなくADMを先天性太田母斑とは全く別個の独立疾患ととらえるかで医師達の見解がいまだ統一されず分かれているということが挙げられます。

(注2)
ADMは遅発性太田母斑(ABNOM)とも呼ばれるため、太田母斑の一亜型(一亜種)であるとする考え方です。

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扁平母斑の場合はどうか?

ところで、もし先天性のアザに保険適用治療がよくて、後天性がだめなら、同じアザ (母斑症)である、扁平母斑(茶アザ)についてはどうでしょうか?

先天性扁平母斑にのみ保険適用が可能で、後天性(遅発性)が不可という文言は、保険点数便覧を見てもどこにも記載はありません。
それゆえ先天性も後天性も問題なく保険適用で治療を受けることが実際には出来ており、患者さんにとっては結果的に良いことなわけです。

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ADMは保険適用できるのか?

しかし、もしADMが太田母斑の一類縁疾患(一亜型)であるとするなら、単にその発症時期が遅いというだけで保険適用が出来ないなら、いささかダブルスタンダードな感をぬぐえないと言えます。

組織学的には同じ真皮メラノサイトーシスという共通像が見られるにもかかわらず、ADMが太田母斑の亜型(亜種)ではなく完全な別物であるとするなら、そのような主張をする側の医師はその証拠をまず論理的に実証する必要がありそうです。
もちろんADMと先天性太田母斑のシミの出現パターン(臨床像)に違いがあることは、その論拠の一つとなるかもしれませんが、この1点のみではADMと太田母斑が類縁疾患であることを完全否定するには根拠として今一つ弱いかもしれません。

この論争がまだ最終結論に達しない限り、はっきりとADMに対してQスイッチレーザー治療を保険適用可能とするか、保険適用外とすべきかはいまだ議論の余地があるとだけは言っておきましょう。

個人的な意見として述べさせて頂くと、ADMであったとしても色味が薄くてメイクで充分に隠せるレベルのものであれば自由診療での治療とし、メイクでもとても隠せそうにないくらい色味が濃く、斑点の数も多く、いかにも目立つものは、アザの一種として扱い保険治療で治して差し上げても良いのではないかと思っています。

かなり主観的かつあいまいな判断基準ではありますが、人を扱っている以上医療からこのような曖昧部分を完全に取り除くことは不可能です。
特にこの疾患は女性に限定されている点も考慮に入れる必要がありそうです。

また、ADMに対して保険適用が可能かどうかは国内地域によっても差があると言われています。
各都道府県において審査を行う委員の判断によっても、保険適用なのか適用外となるのか、ここにもまたあいまいな部分が残されています。

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保険適用で使える機種

さて、あざ治療ないしADM治療で保険適用が可能なQスイッチレーザーは、既にルビーとアレキサンドライトのみと述べましたが、
ルビーとアレキサンドライトでさえあれば、どの機種でも保険適用が可能というわけではありません。

薬事承認の取れた機種のみがそれに該当するということになります。

2017年2月現在の時点で、薬事承認(医療承認)の取れた、ADMの保険適用治療が可能な機種を下に列挙します。

【Qスイッチ・ルビーレーザー】

JMEC社(日本)
The Ruby Z-1と
The Ruby nano Q

MM and niic社(日本)
Model IB101と
IB103Q

Asclepion社(ドイツ)
Tattoo star R

【Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー】

Syneron Candela社
AlexII

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最後に

実際に、保険適用でADMのレーザー治療を行っているクリニックは都内でも現時点ではそれほど多くはありませんが、
30代以上の女性においては意外にも頻度の高いありふれたシミ(アザ)ですので、自分の顔のシミがもしやこれに当てはまるのでは?と思った方は是非一度ネットなどでお調べすることをお勧めします。

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投稿記事のクリニック情報

東京都豊島区池袋2-2-1
ウイックスビル601
03-3987-1161

みずほクリニック

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