機種や設定の注目点

前述のようにニキビ跡治療は
2つクリアすべきことがあると考えます。

1:真皮を再生させて凹みを浅くしていくこと
2:表皮の形状を整えていくこと

そして、フラクショナル治療は
1の真皮再生が主な目的になると考えます。

ここでは、真皮を再生させるためには
どんなフラクショナル機器の
どんな設定がよいのかという話になります。

症例写真等は以下でまとめています。

浅めのニキビ跡治療の症例写真はこちら
深めのニキビ跡治療の症例写真はこちら
ニキビ跡治療に詳しい美容皮膚科はこちら

スタートライン

真皮再生という点では
レーザーアブレージョンの方が
効果的だと思います。

但し、ダウンタイムが長くなります。
他人の視線を気にするから
ニキビ跡を治療したいのだと思います。
レーザーアブレージョン治療は
引きこもれる人でないと
なかなか受ける勇気が出せない治療ですよ。

そういうことがあってダウンタイムの少ない
フラクショナル治療があるわけです。

ですからフラクショナル機器による
ニキビ跡治療の目的としては
ダウンタイムを少しでも抑えながら
真皮再生を目指すことになります。

フラクショナル治療のイメージ

イメージとしては、碁盤や100マス計算表です。
例えば、1センチ×1センチのスペースに
100マスの枠が存在しているとします。

フラクショナルな治療では
一気に100マス全て照射するのではなく
均一に隙間をあけながら
20マスだけ照射とか
30マスだけ照射することになります。

但し、ニキビ跡の場合には
碁盤や100マス計算表のように
平面に対して照射するのではなく
皮膚の凹凸に対して照射することになります。

照射密度と施術回数

照射密度というのは
100マスのうちで
どれだけ照射するのかという割合の話です。

フラクショナルの良さは
照射しないマスを残すことにあります。
ダウンタイムを短くするために
照射しないマスを残しています。

仮に20マス照射したとします。
美肌治療のように単なる皮膚入れ替えであれば
単純計算で最低5回の施術が必要となります。

しかし、ニキビ跡治療では
真皮が再生しないなら
何回やっても無駄となります。

真皮が再生していることを前提に
施術回数を増やしていきます。
1回で納得のいく再生ができれば
それで終了ということも可能です。

なお一般には、20%くらいの照射が多いですが
部分的に照射密度を上げて治療している
クリニックもあります。
(高確率で部分的に炎症後色素沈着は残る)

照射径(ドット径)

これは1マスの面積の話です。
照射径が細ければ細いほど
一定の範囲の中で
マスの数を増やすことが可能になります。

なお、照射径については
レーザーの細さではなく
次に説明する熱拡散も考慮した照射径で
考えるのが妥当といわれています。
つまり、上記の照射密度の計算は
熱拡散した照射径で計算することになります。

レーザーの熱拡散

ダウンタイムのことを考えれば
狙ったところ以外に熱拡散しない方が
よいとなります。

レーザー熱拡散の少ないタイプとしては
エルビウムヤグレーザー機種や(注1)
炭酸ガスレーザーでウルトラパルス等の
照射時間を短く打てる性能付き機種があります。
(アンコアなど)

熱拡散するタイプの場合
普通に照射するときには問題なくても
強めに照射したときに
予想以上のダメージが生じることがあります。

ドット径が大きくなり、
照射跡が残ってしまうなど
ダウンタイムが長引くことも。

(注1)
エルビウムヤグレーザーでも
機種により性能に差があります。
また、ウルトラパルスの炭酸ガスレーザーでも
機種によって総合的な性能に差があります。

なお、熱拡散があったほうが
コラーゲン増加という点で有利とも
言われています。

すると、周辺に熱を与えつつも
それでいてダウンタイムが短いという
手段(機種)も用意しておくのが
良いことになりそうです。

照射パス(重ね打ち)

これは、照射密度と関係します。
仮に照射密度を20%とする場合には
その密度に到達するまでパスを重ねることになります。

つまり、密度が同じでも機種により
照射パスは異なることになります。

レーザーの波長

レーザー波長の特徴から
蒸散タイプと熱凝固タイプに分類されています。

蒸散タイプ(アブレーション)
熱凝固タイプ(コアギュレーション)

真皮再生には、どちらも可能ですが
施術回数が少なくなるという意味で
蒸散タイプの方が有利と言われています。

レーザー深達度(総論)

真皮部分を再生させるためには
凹みの原因となっている瘢痕にダメージを与え
真皮再生可能状態を作り出す必要があると考えます。

そして、瘢痕にダメージを与えるには
使用するレーザービームが
ある程度の威力を保ちつつ
ターゲットとなる瘢痕最深部まで届くことが
必要になってくると考えます。
(レーザー深達度の問題)

瘢痕最深部まで届かなければ効果は出ないし
届きすぎてしまうとダウンタイムが
ムダに長くなってしまいます。
効果の出る最小限度で打つのが理想的です。
(すごく難しいと思いますが)

レーザー深達度(各論)

レーザー深達度は、波長だけでなく
出力やパルス幅なども影響しますが
一般に、深達度を上げようとすると
出力も強くなっていきます。

そのため、深達度を上げたうえで
ダウンタイムを抑えたいなら
熱影響の少ない機種の方が良いと思います。

その他、スターラックス1540xDのように
皮膚を引き伸ばした状態で照射することで
深達度を高めている機種もあります。
これだと弱い出力でも深い位置まで
届くことになります。

連続照射か

深達度と関連しますが
深い場所までレーザーを届ける方法は
大きく2つの方法があります。

ピークパワーを上げて1発で届ける機種と
連続照射することで深く届ける機種があります。
(連続照射できるタイプをスタック型といいます)

ある程度の深さまで1発で届けて
その後、連続照射する混合型もあります。

なお、連続照射となる場合には
照射密度のズレなどが心配されますが
合計の照射時間が0.1秒ほどで
制御系機能がしっかりしている機種なら
問題ないと思います。

但し、波長によっては
連続照射により照射時間が長くなるため
その分、熱が拡散します。

皮膚に接触させて照射するか

皮膚に接触させて照射するタイプと
皮膚から離して照射するタイプがあります。

レーザーの焦点距離を合わせるには
皮膚接触照射タイプの方が良さそうです。

なお、皮膚接触照射タイプには
単なる接触ではなく皮膚に押し付けるタイプもあります。
(前述のスターラックス1540xD)

ジュール設定について

たまにネットで、○○クリニックで
●●機種を利用して
△△mjで施術しましたとか
書き込みがありますが
機種性能を含めた設定については
上記のように様々な比較検討項目があるので
何mjとだけ分かっても
決め手にはなりません。

また、仮に両頬にニキビ跡がある場合、
全て同じ状態のニキビ跡ではないはずです。
そうであるなら、一律の設定で対応することは
合理的ではないとなります。
(施術時間短縮という意味では合理的)

そのことからも一律何mjという情報は
決め手にはならないといえます。

今後は、ニキビ跡の状態ごとに
1回の施術で複数の機種を使ったり
複数の設定を使うことが
主流になっていくと思います。
(今もそのようなクリニックはある)

次、2-7へ

ニキビ跡治療解説一覧

近隣クリニックを探す

ニキビ跡治療関連の掲載最安値(通常料金)

エルビウムヤグレーザーの掲載最安値

エルビウムヤグフラクショナルは、CO2フラクショナルレーザーよりもダウンタイムが短くなります。 この中では、キング・オブ・レーザーと呼ばれているサイトン社のヘイローとプロフラクショナルが高性能で有名です。 なお、パールフラクショナルは、2790nmなのでエルビウムヤグではないですが、ここで扱います。

その他フラクショナルレーザーの掲載最安値

この中なら、フラクセル3が高性能でおすすめです。あと、スターラックス1540xDレンズもおすすめです。

上に戻る