ビタミンAの効果
ビタミンAのサプリは
マイナーではありますが
注目のサプリです。
ビタミンAの作用や
サプリ品質を説明する前に
まずは、その安全性について
現状の争いを説明しておきます。
ビタミンAサプリの安全性
ビタミンAは
脂溶性のサプリとなります。
脂溶性だと体への蓄積が問題にされ
過剰摂取の安全性が取り上げられます。
問題点の整理
ビタミンAについては
広義の意味とか、狭義の意味とか
その定義がややこしいので
ここではシンプルに考えていきます。
以下の2点に絞って考えると
分かりやすいと思います。
1:合成と天然の問題
2:天然なら安全なのかの問題
1:合成と天然の問題
通常の食事から摂れるものは天然。
それ以外は、合成と考えておきます。
合成のビタミンAで有名なのは
トレチノインやイソトレチノインです。
(シミ治療・ニキビ治療で使います)
トレチノインの皮膚塗布や
イソトレチノインの内服に
注意が必要な点で争いはありません。
動物実験で奇形の報告があります。
従って、これらは、医師の管理のもと
使用しなければなりません。
2:では、天然なら安全なのか?
天然のビタミンAについては
現在、安全性で争いがあります。
【危険説】
通常の食事量でも、食事内容によっては
過剰症のリスクがあるとする考え。
この考えの代表的なところは
内閣府の食品安全委員会です。
ちなみにウィキペディアも
「妊娠中のビタミンA摂取について」は
この立場で編集されています(2014.11確認)。
(注1)
【安全説】
通常の食事量であれば
過剰症のリスクはないとする考え。
この考えの代表的なところは
溝口先生系の栄養療法を行っている先生達です。
(注1)
危険説の立場でも
野菜から摂取することになる
β-カロテンについては
過剰症にはならないとしています。
つまり、ここで問題になっているのは
動物性食品のビタミンAです。
具体的には、レチノールの
過剰摂取の問題となります。
食品安全委員会の考え
食品安全委員会のファクトシート
「ビタミンAの過剰摂取による影響」があります(PDF)。
(2014.11確認)
そこに書かれていることは
ビタミンAの過剰摂取は
ビタミンAを含有する薬剤を大量に服用するか
例えばレバー等
食品の中でもビタミンAを多量に含有する食品を
摂取することにより発生。
ビタミンAの過剰摂取には
急性と慢性の症状があるとして
それぞれの具体的症状を挙げた後に、
「その他、ビタミン A 過剰症として催奇形性、骨密度の減少、骨粗しょう症も知られています」と書かれています。
↑
この「知られています」という書き方が
どのような立場に立っているのか曖昧ですが
素直に読めば、レバー等を食べすぎると
催奇形性や骨粗しょう症が起こり得ると
読めます。
栄養療法を行っている先生達の考え
日本の栄養療法で有名な
溝口先生の本から引用します。
『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』P162より。
「かつては、ビタミンAが脂溶性であることから、とりすぎると体に蓄積して、過剰症を起こすといわれていた。 しかし、現在では肝臓にあるステレイトセルという細胞が、ビタミンAを貯蔵し、コントロールしていることが明らかになっている。必要に応じてビタミンAを貯蔵庫から出して供給するというシステムが、体には備わっているのだ。」
つまり、レバーをたくさん食べても
必要がなければ供給されないという話。
美容皮膚科ナビの考え
深刻な問題も含むので
責任は取れない発言になりますが
どちらかといえば
栄養療法の考え方に賛成です。
栄養療法が正しいというよりも
食品安全委員会の考えに
不明な点が多いことがひっかかります。
まず、天然ビタミンAで
催奇形性のリスクがあると書くなら
その根拠がどのようなものなのか
詳しく記述してもらわないと困ります。
女性であれば、誰でも心配になるところです。
どのような食品を
どれだけの期間で
どれだけの量を摂取して
どのような結果が生じたのか?
どれだけの人数で調べたのか?
催奇形性が出ていなくても
それにつながる症状は出ているのか?
このあたりの具体的な情報が
見つかりません。
(あったら教えてください)
次に、過去の経験談になりますが
私が小学生・中学生の頃は
(何年前かは、ノーコメント)
貧血の人は、レバーをたくさん
食べるようにと指導されていましたが
それで何か問題が起きたとは
聞いたことがありません。
ちなみにですが
厚労省が出している(2015年版)
日本人の食事摂取基準によると(RAE/日)
18~29歳女性であれば
推奨量650マイクログラム(0.65mg)
耐容上限量2700マイクログラム(2.7mg)。
前述のファクトシートによると
生豚レバーは、100グラムあたり
1万3000マイクログラム(13mg)です。
焼いてどれだけ変化するか不明ですが
それでも、かなりの量となりそうです。
食品安全委員会の対応について
私が言いたいのは
食品安全委員会の人たちは
どこまで本気で対応しているのか
ということです。
「お母さんになるあなたへ」でも同じように
ビタミンAの過剰摂取で催奇形性を挙げています。
もしも、念のため避けるように
という意味で書いているなら
そのことを明記しなければダメです。
それを書かないなら
不安を煽っているだけとなりますよ。
もしも、何らかの強い根拠に基づいて
書いているなら
インターネット上に情報公開するだけでなく
啓蒙活動が必要となります。
催奇形性は、そのレベルの話です。
情報を知らなかったでは
すまされないレベルの話です。
予期せぬ妊娠となることは
少なくないですが
妊娠してから知りましたでは
遅いことになります。
最後に、サプリの話です。
サプリであれば、
動物性の天然ビタミンAでも
摂取量は、○粒目安と表記されます。
催奇形性のリスクがあるようなものを
目安で表記するのはおかしなことです。
リスクがあると考えるなら
注意書きだけですますのではなく
すぐに規制の方向で動くべきでは?
でもそのようなことはしていないわけですよね。
以上が、安全性の話です。
天然ビタミンAサプリの品質等
ここまでの話を読んで
どれだけ飲みたいと思う人がいるか
心配ですが、説明を続けます。
まず、繰り返しになりますが
植物性のβ-カロテンについては
過剰症の問題は無いことで
現在、争いがないので
β-カロテンのサプリは
自由に対応してください。
ここでは、動物性の天然ビタミンAの
品質等について解説します。
品質の良いビタミンAサプリ
品質の考え方については
以下のページを見てください。
ここでは、あてはめだけ行います。
1:エビデンスのレベル
2:成分自体の目的への影響力
3:製造過程・原材料の品質等
4:サプリ摂取後の検査データ確認
1:エビデンスのレベル
エビデンスについては
よくわかりません。
すみません。
栄養療法を行っている先生の
主張していることを挙げておくと
細胞の増殖促進・分化の調整
上皮組織の正常化、免疫機能の維持
視覚(夜盲症)作用、がん抑制作用など。
特に重要と見られているのは
上皮組織の正常化の部分です。
アレルギーに関連する話で
面白そうなのでまとめておきます。
(『アレルギーは「砂糖」をやめればよくなる!』P161より。
上皮細胞とビタミンA まとめ
上皮細胞という組織は
気道粘膜や鼻孔粘膜や腸粘膜にある。
上皮細胞の上には線毛があり
IgA抗体を分泌しながら
異物を侵入させないように動いている。
IgA抗体の材料は
グルタミンとビタミンA。
もしもビタミンA欠乏があると
IgA抗体の分泌が悪くなり
よって、線毛の動きも悪くなり、
異物の侵入を容易にしてしまう。
だから、ビタミンAを摂りましょうよという話。
2:成分自体の目的への影響力
上記で説明したように
ビタミンAサプリは、最近では、
粘膜系の症状改善、
特に様々なアレルギー改善目的で
使われています。
では、ビタミンAの
アレルギー改善目的への
影響力はどれほどなのか?
アレルギー症状は
原因が複数あるのが通常で
その原因が特定しにくいのが特徴です。
つまり、何か1つやったから
治るというものではありません。
従って、ビタミンA単体での
アレルギー改善への影響力は
それほど大きくないといえるでしょう。
しかし、ビタミンAを利用した
アレルギー改善治療は
根本治療を目指したものであり
将来的には、検討すべき大きな原因の
1つとして扱われるかもしれません。
注目しておきましょう。
なお、鼻や喉の粘膜への目的であれば
その改善への影響力は大きく
サプリの中では比較的
体の変化を実感しやすいと言われています。
4:サプリ摂取後の検査データ確認
サプリ摂取後の検査データ確認は
医療機関で血液検査すれば可能です。
医療機関と提携して
動物性ビタミンAのサプリを
扱っているところは
私の知る限りでは1社のみです。
株式会社MSS(MS)から
タラ肝油のビタミンAサプリが出ています。
仮に1日に2粒飲むと
レチノールは、4.5mg 摂取できます。
1ヵ月で約8000円となります。
なお、ビタミンAを摂取してると
どの検査項目に変化が出てくるかですが
これがよくわかりません。
(本当にすみません)
何か分かれば追記します。
安全性に不安を感じるなら
最初の方で述べたように
合成のトレチノインや
イソトレチノインは
使用に注意が必要ですが、それでも
医師の管理のもと治療が行われています。
(女性も治療を受けています)
イソトレチノインは、内服薬です。
飲めば、皮脂が止まります。
今まで異常に出ていた皮脂が止まります。
それほど強力な薬です。
そのような薬とレバーなどの
天然のビタミンAを同列に考えるのは
どうかと思いますが
もしも天然のビタミンAでも
不安を感じるのであれば
医師の管理のもとに
サプリメントを使用することを
おすすめします。
なお、MSから出ているサプリは
医療機関を受診しないと
入手できないので
不安に思っても思わなくても
医師の管理のもとで
摂取することになります。
豆知識
ビタミンAサプリは
亜鉛と一緒に摂ると
より効果的との情報あり。
天然の動物性ビタミンAと
天然の植物性β-カロテンを
同時に摂取することで
相乗効果ありという意見も。
補足:大量に摂取するとどうなるか?
6ヶ月の平均で1日98500IUの
ビタミンAを摂取していた人の話。
豚レバーで換算すると
1日230グラムくらいになるとのこと。
以下のブログによると、その人は
門脈圧亢進症と診断されたそうです。
ほとんど起こらないと思いますが
念のため注意ということで。
ページ作成日
2014年12月11日作成。
その後、随時更新予定。
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